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2023年12月26日火曜日

自分を大事にすることから

先日、ツムラさんの新聞広告を見ながら、大事だなって思った言葉「自分を大事にすることから」


と、いうのも今年の新入社員研修の講師をしながら、まずは自分を大切にしてほしいという思いを持ったからです。そんな自分の心にヒットした広告でした。

パレットでは入社3年目までは、品質管理と社員育成の目的で、社内技術検定を行っています。技術の見える化で、何を頑張ったらよいか戸惑う新人たちの成長へのスモールステップをわかりやすく示していると思っています。しかし、検定をクリアしなければ・・・と、自分自身に重圧をかける人が今年は多かった。コロナの影響もあるのか?と、思うが、いずれにせよ、自分で超える課題だ。

新入社員研修で「素直、誠実、謙虚」が、大事。特に謙虚さです。それは、人に対して・・というところもあるが、自分と向き合った時に、自分に厳しい言葉をかけているところを、ちょっと謙虚になって頑張る自分を大事にするというようなこと、自分を大事にする人が関わる人に対しても大事にすることにつながる。人と人の関係性の前に、自分との関係性が大事なのです。決定的なことは自己対話能力。その時でも「素直、誠実、謙虚」に、自分と対話をすることです。

新人たちがこの自己との関係性をきちんと作る。つまり、日々変化する自分を整える日々の中に、自らの可能性を広げるきっかけが作られていく。まず「自分を大事にすることから」そんな思いに、ツムラさんの広告が、響いたという話です。

(Temporary Backup) 「インカの目覚め」で気づく

ふるさと納税で「インカのめざめ」というじゃがいもを買った。味は、栗やさつまいもの甘みを加えたじゃがいもという感じです。最後に残る甘味と旨み、コクが「インカのめざめ」らしい味だと思います


それで、ポテトサラダを作った。甘みがあるので、塩胡椒、マヨネーズに、その場にあったレモン果汁をかけてみた。爽やかだがレモンの明るい日差したっぷりの香りがじゃがいもの根っこのような、土の中を感じる陰湿な匂いと並んで二つの主張を感じる。あまり仲良くなれそうに無いので方向転換。熟成したワインビネガーに変えてみたら、スッと馴染んだ。育った環境の違いがこの少しの違和感を作るのだろう。

他にもおでんや、肉じゃがなども作ってみた。どれも美味しいが、インカのめざめの美味しさをスッと感じたのは、じゃがバターにいか塩辛を重ねて食べた時だった。この芋だからこの塩味をしっかり受けて負けていない。たまたまのペアリングでアルザスのリースリングともよくあっていた。家で自分の好きに作る料理に、家飲みワインでのペアリングならではの自画自賛。文句を言うとすれば奥さんだけだ。「あわへんかった?なんかごめん」で済ませてしまう。





ひたすら自宅で料理を作り、セラーにあるワインとのペアリングが、とても気楽だ。そして、気分転換させてくれる「楽しみ」だ。お菓子作りのプロとしてのお菓子作りは、コンマ何グラムまできちんとしないと、仕上がりが違ってくる。目に見えない「こんな感じ」を求めて、突き詰めていく。それはそれで楽しんだけど、感じる「圧」は、家での料理とは比較できないものだ。緊張と弛緩、抽象と具体などの対極を行ったり来たりしているのが性に合っているのかと思います。それが、ケーキ屋さんの経営者としての異質を作っているのかと、この頃思うようになってきました。

2023年12月2日土曜日

職場体験実習の中学生が書いた日報

 10月頃から、市内の中学校からの依頼で、職場体験の中学生受け入れています。そんな中学生にも、日報にコメント書いてくださいと、指導している。言葉にすることで、その中学生の「一日の学び」は、化学変化を起こすと思っています。

そんな一人の中学生が書いた日報です。

「洗い物をしているときに「ありがとう」と、言われた。後片付けだけど、ケーキを作ることには必要なこと。それでも、言われてうれしかった。大きな仕事から、小さな仕事までたくさんあるけれど、どれも気持ちを込めてやることが大切だと思った。3日間たくさんにありがとうございました。一緒にたくさんのことができて、うれしかったです。」

とても素直なコメントに”中学生らしさ”を感じる文章表現が、すっと自然な感覚で、心にしみ込んできます。わずか3日間の体験学習で、そんな風に感じて頂けて、こちらから「ありがとう」を伝えたくなります。

小さな「気づき」を、今目の前の洗い物をしている自分から、ちょっと俯瞰してお菓子づくり全体をとらえて、自分の「学び」につなげていく。気づきを自分の学びにつなげる力は、どこから学んだのか?DNA?育った環境?・・・この人が日々の時間を共に過ごす人から自然と身に付けた感覚なのか?日々の目の前のことを素直に受け止められない私の小ささを感じます。止めているのは、ちいさな自分を頑なに守ろうとする”自己保存本能”だと思う。

小学校の先生のお話で、聞いたことです。小学校4年生くらいから子供たちが算数嫌いになっていく。分数や四捨五入などの”概念”が必要になってくるからだそうです。経験的感覚を言葉で伝える難しさの理由と思います。目に見えないことを伝える難しさ。その難しいことを”うれしかった”の素直な感性がすっとしみ込み広げ伝わる心地よさは、学びのコツになるのかと思います。

私の小ささはさておき、中学生の素直な「学びのサイクル」は、多くの人への新たな気づきになると思います。中学生のかわいい笑顔から私も学びました。感謝です。

2023年10月14日土曜日

滋賀県洋菓子協会主催技術講習会を開催しました。

今、日本で最も受講者を集めるパティシェ 和泉光一シェフをお招きして、日本洋菓子協会連合会、滋賀県洋菓子協会主催で、講習会を開催しました。キャンセル待ち状態になりました。



講習会は、和泉シェフの作りながら話す“ライブショー“でした。わかりやすい説明、声のトーンも心地よく響くなどもあるのかと思います。受講される方の熱意も重なって、楽しい講習会となりました。講習で作ったお菓子も、キレの良い後味の軽いもので「売れるお菓子」と、感じました。



前日にシェフと食事をして、直接話す時間がたくさんありました。経営のことや新人教育、製造体制など話は尽きることがなかった。ぼそっと「ケーキ屋さんとはあまり仲良くなれないんです」と、笑って話してくれて「同感です」と、応えた。お互いケーキ屋さんなんだけど?

ケーキ屋さんの職人育成は、歴史の教科書に出てくる16世紀の産業革命のマニュファクチャシステム(家内制手工業)の延長線上にあると思います。ケーキ屋さんは手工業による協働体制です。そこに、働き方改革という時代の変化が加わって転換期がきた。多くの休日、短い労働時間と時間がかかる技術習得という矛盾。さらに、受け身で働く被害者意識の人には、技術の伝承は難しい。技術習得は、自分ごととして取り組まないと身につかない。16世紀から何ら変わらない歴史的事実?だと思う。

技術習得は「自転車の乗り方を覚える」と同じだと思う。技術として覚えるのは、ペダルを踏む、ハンドルを操作する、ブレーキを握る。肝心なのは、乗りながら覚える「平衡感覚」。その人が身体的感覚を駆使して掴むもの。お菓子作りの技術習得も同じ、講習会でレシピや工程を教えてもらっても、そのお菓子の平衡感覚は、その人の身体的感覚(五感)で捉えるもの。目に見えない感覚と目に見えるレシピや工程がセットになって、ようやく技術習得となる。

「技術を身につける」わかっていそうだが、身につけるというところに意味がある。お菓子作りにチャレンジしてくるZ世代の苦手な部分→非認知能力=自分の身体的感覚を捉える能力。こんな感じ、あんな感じの身体的感覚を辛抱強く積み重ねて時間をかけて「身につける」のだ。身につけることで、ようやく承認される世界なのです。身につけた技術で安定的に再現するパティシェが「仕事のできる人」です。そして、経験を再構築してレシピに落とす人が「プロ」だと思うのです。和泉シェフの講習は、そうしたモヤっとしていることを再認識させてくれました。感謝です。


2023年9月16日土曜日

自然の恵みを引き出す知見を手に入れたい

表題は 日本経済新聞で紹介されていたサントリー白州蒸溜所の有田工場長の言葉です。「全体のバランスが整い、たたずまいの良いウィスキーを作ることを心がけたい」との言葉をイメージで解釈する。

バランスが良い、たたずまいの良い・・・滑らかな味わいとともに、香りが広がり、ゆっくりと沁み込むように味わいが消え、なお余韻に浸る。ゆったりと長い味わいと香りが心地よいウィスキー。そんなイメージがわいてきます。

目指す味わいのために、麦芽の自製化に取り組む。自製化によって独自の味わいを作っていく考えのようです。10年後20年後が見えているのかと思います。生産性や効率を求める時代の中で、未来のあるべき姿をいま語り、取り組んでいく会社は強いと思います。

これは、サントリーという大きな会社だからという話で受け止めるのではなく、私たちのような小さなケーキ屋でも見習うことだと思います。今すぐに到達できなくても、そこを目指す。自然の恵みを引き出す知見を手に入れ、自製化した材料を使って「パレットオリジナルの味わい」を作る。


滋賀県が開発した新品種イチゴ「みおしずく」のサンプルをいただいた。赤い色、繊維質の味わい、酸味がしっかりある好みのイチゴでした。シンプルにこれらの強味を引き出す滋賀のおもたせギフトが作れたらと思います。

生ケーキでは、毎年国産イチゴがおいしい1月~3月の期間限定販売している「たっぷりいちご」のみおしずくバージョンなどは、すぐにでも準備ができる。いつも使っている「さちのか」と、味わいが少し似ているが、強みである香りが長く残る仕上がりと想像しています。1月から入荷次第ですが、おいしい滋賀県産イチゴタルトを販売していきたいと思います。






2023年9月8日金曜日

自家焙煎のコーヒーを飲みながら

 自家焙煎したコーヒー豆で、豆を挽いて、コーヒーを淹れる。興味本位で買った自家焙煎機が、素人ながら、優れものだなって思う。何も考えなくても、おいしいコーヒーを味わえる事実にです。

コーヒー豆焙煎機MR-F60A・・・珈琲に対して、何の予備知識も持たないから、本を買い求めた。








筆者のプロフィールを見ていると、なんと滋賀県人だった。妙な親近感を感じながら、主催するサイト「百珈苑」をのぞいてみる。あかん、素人が立ち入るところではないと、直感した。おとなしく、自分のためのコーヒーを楽しもうと思った。

為末大さんの本「熟達論」を読んだ。その中に、「ZONEに入ると一瞬であっても主体なき世界を体験できる。すべてが関係しあっている世界から自由になるのは「自我」からの解放だ。」オリンピアの言葉を軽く受け流すと「没頭すると我を忘れる」と、いうことかと思います。

好きなことに浸り、我を忘れ、時間の経過からの解放される。おいしいコーヒーの味わいと香りには、そんな感覚があるのが不思議だ。それを論理的に学びたい気持ちもこの感じていることを誰かに説明しようという気もない。シンプルに浸りたい。ゆっくりと心に沁みてくるのを楽しみたいのです。コーヒー一杯を淹れるのに、1時間ほどかかるが「今の自分」には幸福な時間です。









2023年9月3日日曜日

静かなぜいたくの時代

日本経済新聞に「映え」の対局として位置付けされるシンプルで上質なファッション「クワイエット・ラグジュアリー」が、2023秋冬ファッションの主流をなす紹介記事がとてもインパクトがあった。目も心も疲れさすインフルエンサー情報への反発もあるのかと思う。とても新鮮な感覚でこの記事を読みました。そして、納得した。




トレンドを説明する言葉の中にあった「究極の普通」は、私自身のお菓子作りに求めるスタンス。ここをぶらさないように、お菓子を作ってきた。それが、「知る人ぞ知る」など目立たないけれど印象に残るお菓子作り。パレットの中では「心に残るお菓子作り」として創業時からスタッフに伝えているパレットのお菓子作りの魂のような思いです。

この考えの背景は、何かの文章で知った「出汁から味噌汁を作るのは全体の20%」から、美味しい味をわかる人ということでは無く、美味しい味を作る人の割合と理解した。つまり、手間をかけて美味しい味を作るこの人たちを想定した「美味しいお菓子」を作っていこうと考えたのです。これは、今もパレットのお菓子作りの中心にあります。

そのための材料選びとして、イタリアから始まったスローフードの考え方と重ねた「安全安心100年素材」を使っていくと決めています。これは、親、子、孫と三世代を超えて食べ続けられる食品ということで、100年前になかった材料は使わないという材料選びの線引きを自分たちのために、お客様のためにしています。だから、闇雲に添加物を使わないと線引きするのではなく、天然添加物「バニラ」は使う。130年ほど前に開発されたベーキングパウダーは、炭酸ガスとアンモニアガスで生地を膨らます添加物ですが、どちらも体に害がない。だから、使う。と言うようなゆるい基準です。バターの代用品として開発されたマーガリンは100年を過ぎても使うことはない。

話はそれますが、マーガリンとは全く違うコンセプトで開発された「植物油脂100%無添加バター」をこの間紹介されました。興味があるので、この食材で試作をしているのですが、100年素材の考え方の解釈に「但し・・・」をつけなくてはいけないなと思っているところです。いわゆる安全安心の拡大解釈です。

話を戻すと、ブランドロゴや驚きのコラボで価値を喧伝するのではなく、計算されたシルエット、高級素材、そして地味で繊細なカラーで囁くようにアピールするファッション。お菓子作りにもそのまま同じだなと納得したのです。「映え」など気にしないぞと、自分に言い聞かせるパティシェでした。





チョコレートは難しくない

「チョコレートは難しくない」というテーマのチョコレートの社内勉強会を開催しました。
講師が、難しい理論の話を優しくわかりやすく説明していただきました。また、電子レンジのテンパリングを実演していただき、明日からすぐに使えそうだなって思いました。


チョコレートの試食でも、濃いカカオの味わいの中にドライフルーツを感じた。滑らかさや香の立ち方など、クオリティーの高さが心地よかった。

パティシェさんによっては「俺は〇〇社のチョコレートしか使わない」と、いう方がいます。また「ベルギーチョコレートを使った本格的・・・」などのキャッチなども、同じですが、チョコレートときちんと向き合っていないと思う。産地や品種、焙煎の違いなど言い出せば、そんなカテゴリーの話ではないことは誰でもがわかる話だ。いわゆる思い込み、先入観、錯覚の話だ。流暢性の幻想と言われるものかと思う。

情報が多い中で、私たちパティシェが使う材料を決めるときに重要なのは、目指す味わいに対して、目の前の素材の良さを生かせるかどうか?良いとか悪いではない、目指す味にとって必要か?と、いうことです。その判断ができるかどうかが、その人の力量(認知領域の広さ)と考えます。

若いスタッフが「私、これ嫌いです」などと、好き嫌いを言うのを聞くと自分から認知領域に制限している。つまり自分で超えられない意識の壁を無意識に作っている。つまり、常に自分が作った錯覚の中で自分と戦っている。

こうした勉強会で、自分のつくった意識の壁や錯覚を突き抜けて、認知領域を広げるきっかけにして、自らの可能性を広げてほしいと願うのです。突き抜けるのはチョコレートに誠実に向き合うこと、そして、素直に美味しい!と、感じる五感の感性。さらに、こうした機会を得られたことを謙虚に感謝することです。誠実、素直、謙虚は、意識の壁を超えて、自分を成長させる切り口となります。

2023年8月22日火曜日

自分を大事にすることから

先日、ツムラさんの新聞広告を見ながら、大事だなって思った言葉「自分を大事にすることから」


と、いうのも今年の新入社員研修の講師をしながら、まずは自分を大切にしてほしいという思いを持ったからです。そんな自分の心にヒットした広告でした。

パレットでは入社3年目までは、品質管理と社員育成の目的で、社内技術検定を行っています。技術の見える化で、何を頑張ったらよいか戸惑う新人たちの成長へのスモールステップをわかりやすく示していると思っています。しかし、検定をクリアしなければ・・・と、自分自身に重圧をかける人が今年は多かった。コロナの影響もあるのか?と、思うが、いずれにせよ、自分で超える課題だ。

新入社員研修で「素直、誠実、謙虚」が、大事。特に謙虚さです。それは、人に対して・・というところもあるが、自分と向き合った時に、自分に厳しい言葉をかけているところを、ちょっと謙虚になって頑張る自分を大事にするというようなこと、自分を大事にする人が関わる人に対しても大事にすることにつながる。人と人の関係性の前に、自分との関係性が大事なのです。決定的なことは自己対話能力。その時でも「素直、誠実、謙虚」に、自分と対話をすることです。

新人たちがこの自己との関係性をきちんと作る。つまり、日々変化する自分を整える日々の中に、自らの可能性を広げるきっかけが作られていく。まず「自分を大事にすることから」そんな思いに、ツムラさんの広告が、響いたという話です。

2023年6月4日日曜日

フランス産発酵バターを使ったリーフパイ



 いつもバターを納品いただいている業者さんから、バター昨年実績を確保しましたが、これから欠品します。との連絡をいただいた。国内産バターで最高と思って使ってきた低水分バターが十分な量が確保できない事実に抗うことはできない。

低水分バターを使って作る「一番生地リーフパイ」と「プレーンサブレ」をフランス産発酵バターで試作をしてみた。低水分ではない発酵バターの良し悪しが出た。水分が多いことで、プレーンサブレは、しっかり感じていた「バターの旨みと香り」が、少し緩慢な味わいになって、優しく可愛らしい印象のサブレになった。

リーフパイは、発酵バターの持つ「柔らかい乳の旨みと香りの長さ」が印象に残る味に変わった。そして、驚いたのは「軽さ」これは、発酵バターの水分量が低水分より4%増えたことで変化したものです。この軽さが柔らかい乳風味の旨みと香りの長さとマッチして、絶妙に美味しいパイに変わりました。この味の調和も好きだなって思いました。

プレーンサブレは、入荷量は減るが低水分バターを使っていきます。このバターのしっかりした旨味と香りで、サブレの味わいを支えているので、このまま、販売を継続します。







個人的な好みの話ですが、休日のティータイムにゆっくりあじわいながら食べたいサブレです。鼻から抜けていく香りや後味の長さや余韻が素材の力やなって思うのです。

2023年3月26日日曜日

ワインエキスパート試験に受かった

歳を重ねても新たな挑戦ということで、トライした日本ソムリエ協会のワインエキスパート資格試験。昨日の晩御飯もちゃんと思い出せない記憶力で「大丈夫?」と、自問自答。それでも、知的好奇心を満たしたい欲求が渦巻く。

過去の経験則で「過去問をやっていたら受かるだろう」と、いう甘い期待と予測のスケジュールで取り組んだ一年目。過去問で80点以上取れる様になって「大丈夫だろう」で試験当日、過去問にもなかった想定外の問題が20%ほど出されてパニック。なす術もなく不合格。

一年後、2回目の学科試験。受験料は少し高くなるが同じ年に2回受けられる。試験終了をクリックするとモニターに大きく不合格と数秒で表示される。しばらくモニターから動けない。試験会場を出てプリントアウトされた不合格の文字にだめ押しされる。

3回目の試験。想定外の問題への対処を自分なりに考えた。クイズ番組「東大王」と、同じような直感的仮説から、自分の持っているであろう知見を集め、正解の確率が高いであろうと答える。試験終了のクリック、合格の文字に、自分の殻を一つ抜けた様な快感に満たされた。


次はテイスティング試験。これはパティシェだから、一発で受からないとなと意気込んだ実技試験。白ワインのシャルドネと甲州の香りが取れずに会場でパニック。不合格。

次の年の受験もうやめようかと自問自答。合格という承認欲求から離れて、自分で納得できるところまでやろう。ワイン好きの気持ちで、ワインにどっぷり浸かろう。ワインを飲み物として評価することから離れよう。素直な気持ちになれたテイスティングの勉強はとても楽しくなった。そして、香りをとれる様になった。合格した。

経営者として、パティシェとして、この受験の顛末はカッコ良いものではない。ないけど、この顛末はまさに私の生き様。ぐだぐだになりながら光を求めて彷徨う。そして、それを愉しむ。私なりの知的好奇心の満たし方だ。これは、今後も変わらないようだ。


2023年2月19日日曜日

ブログを再開しようと思った

 特別に「そうあらねばならない」理由はなどないが、ブログも含めて、facebook、Instagramなどをお休みしようと思った。実体を感じないつながりに興味を失ったからです。それより、目の前のことをもっと大事にしよう・・・単純にそんな理由でした。


先日、信用金庫の方との打ち合わせに、信用金庫でインターシップ研修中の学生さんが同席されていました。その初対面の学生さんに「どうして、ブログをやめたのですか?」と、質問され、重ねて「書いて欲しい」と、言われた。素直に感心した。私の以前書いたブログを読んで、そんなことを思ったんだ・・・ありがたいことだ。

それから、もやもやとしていたことが霧が晴れていくように消えていった。「今」の自分が感じている「今」や、思っている「今」を、伝える。そこに「いいね」の承認欲求は動かない。「今、自分を突き動かしている原動力は何か?」を、自分への問いかけるのに、このブログは有効だと気がついた。そして「知的好奇心の充足」があれば、承認欲求を抜けて、自己実現の欲求のステージで考えることにならないか?一歩間違えば自我の欲求をみたすだけだが、それも笑って読んでもらえたら嬉しい。


誰かのために・・と、いう漫然とした他者への貢献のイメージが、一人のインターン研修中の学生に教えていただいたと思う。ぼちぼちと「今」の気づきを言語化していこうと思います。