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地産地消、スローフード、自家製、自然素材、無添加、底甘味、底糖度、体に良い、安全安心、そんなキーワードからの目指す丁寧なお菓子作りと、売上増、大量生産は、相入れないところがある。食べ物を作る仕事には、必ずついてくる相反する課題だ。そんな課題は、これからのケーキ屋さんはどうあるべきか?こらからのパティシェはどう育ててれば良いのか?答えの出ない、正解なんてない課題に向き合うことになる。
パレットなりの方向性として、今までのお菓子作りをより進化させる。生産性を上げて、付加価値を高める。資本力などないので、この地域に暮らす生産者の方と力を合わせて、今だけ、ここだけ、これだけしかないお菓子を作るケーキ屋を目指す。さらに、働くスタッフも年齢を重ね、結婚し、子供を育てながら、好きなお菓子作りを続ける。生産者の皆さんの暮らし、共に働く人たちとの暮らし、地域で取れた農作物を使ったお菓子作り。地域と密接に繋がることを強みとする地域密着のケーキ屋。キラリと光り輝くローカルブランドを目指したいと思う。
そして、今回導入したクーボは生産性を高め、今までの製法を合理的、画期的に進化させて新たな付加価値を持った製品を作り出すことができる。現状は、クーボの特性を生かした試作研究のお菓子作りの段階です。テスト段階でも、わぁすごい!というものにたくさん出会う。
いちごソースを今まで大きな銅鍋で30分ほどつきっきりで炊き上げていた。殺菌も含め82度まで上げて、丁寧に灰汁取りをしていた。果物全般に言えるが、70度を超えてくると果物本来の香りや味わいが熱によって変性する。これをクーボで真空減圧加熱をして行くと、75度を超えない温度で加工ができる。色が鮮やかで、香りが残り、果物本来の味わい、灰汁もでない。つまりミネラルの旨味も含むので格段に変わる。スタッフがこのいちごソースをベースにした「パレット自家製いちごジェラート」を作って、色の違い味の違いにびっくりして日報に書いていた。「すごい!おいしい」
この苺ソースをクーボに入れて減圧加熱攪拌加工に要する時間はほぼ5分。準備後始末を入れて15分ほど。手で炊く作業に比べると1/3の時間になる。生産性が上がる。そして、手で炊き上げるときとは全く違う付加価値の高い素材加工ができる。素材が変わるので、製品も仕上がりも変わる。素材の味わいを生かした、シンプルなお菓子が持つ魅力は、パレットのお菓子の特徴だ。自分が食べたいお菓子だ。
これから、時代がどうなるかなんてわからない、時代の流行り廃りで「おいしい」も、変わって行くと思う。そんな混沌とした時代の中で「美味しいものは、変わらない」と、いう確固たるフィロソフィーを持って、地域のお客様を笑顔にするお菓子を作って生きたいと思うのです。私自身も、肩の力を抜いて、ニコニコ笑顔でお菓子を作っていきたいと思うのです。