膳所店の改装を、RaBaumの中谷さんにお願いしてた。中谷さんの娘が、パティシエの卵として、昨年入社してきたのがご縁だ。
改装をお願いするときに、いろいろとお話をさせていただいた。改装のテーマは「美味しいものは変わらない」。中谷さんは、きょとんとした。
膳所店は、パレットスタートの店で、今でも、本当に多くのお客さまにかわいがって頂いてるお店です。店構えは「民家風」自分の住んでいた家を改装したそのままで、決しておしゃれな店ではない。スタッフいわく「魔女の宅急便に出てきそうな店ですよね」いいように取れば、かわいい店だが、とりようによっては、ぼろぼろって言うこと。
そんな良さ?を活かした改装という無茶な注文に、中谷さんはやわらかな笑顔とプロの技術を持って、答えていただいた。その気持ちに、頭が下がります。助けていただいたと感謝です。
私の祖父は、明治生まれの大工だった。小さいときから、大工道具が身近にあったので、祖父の横で、鳥小屋や本棚、思いついたものを手当たり次第に自分で作っていた。作るのを楽しんでいた。そんなときの楽しさを、中谷さんを見ていたら思い出した。理由は、わからないが、時間を越えて、祖父の笑顔を見たような気がした。
時間の連鎖の中で、こうした人の連鎖がある。そして、感謝の気持ちを、お客さまにつなげていきたい。
アドバンスのスィーツクラスで、苺とレモンのシブーストを作った。
プロの現場、そのままをやれば、見てる分には良いが、お客様にとっては、結構大変。シブーストは、そういう意味で作業が大変なのと、難易度が高い。
味わいは、その時々で変わるものと定義すると、様々な可能性のなかから最適を選択する能力を高めることが大切だと思っている。アドバンスクラスでは、難しいケーキを作れるようになったということより、自分の可能性を広げるきっかけになればと願っている。プロではないのだから、楽しむこと、そして、自分の可能性を感じる瞬間があれば良いと思っている。
お菓子作りに、「唯一の正解」があるように思っている人が多い。あえて言うなら、今の自分はこれが好みと言う程度のものだ。同じレシピで来年作っても、そのときの気持ちのありようで変わる。激しくせめぎあう味わいをイメージすれば、レモンを強くしたくなるか、メレンゲの分量を減らすかもしれない。。そんな自由なイメージに「唯一の正解」などない。
経営と同じ、確率を高めるために、これを選択するが、他にも方法がいっぱいある。それを踏まえて、愚直に、正確に同じ方法を続けていくと、ふっとひらめくものがある。人生も同じだ。