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2016年7月31日日曜日

マスコヴァド糖とバランゴンバナナを使った焼き菓子

業者さんから、こんな黒砂糖ありますよと言われて味を見たら、とても優しく広がる甘みと香り、ミネラル分が多いから柔らかい味わいになるんだろうなという印象。この味わいを生かした焼き菓子をイメージする。


バナナと合わせてザクッと食べられるナチュラルな味わいの焼き菓子。そんなイメージでこの黒砂糖のことを調べていると、「いのち・暮らし・自然を守る」ことをテーマに、生産者と消費者、南と北の共生をめざす日本の人びとの出会いから生まれた『バランゴンバナナ』。このバナナを味わうことは、フィリピンの生産者たちの暮らしを応援し、共生の地球環境づくりへとつながっています。と、紹介されるバナナがあることを知り早速オーダー。

濃厚な甘さ、とてもしっとりとし、繊維質を強く感じる。香りが長い。このバナナの持つ力強い味は、無理のない栽培環境から作られるのかと思う。無農薬栽培のバナナにこだわるのではなく、どこまでも素材を活かす考え方。同じフィリピンという産地で作る味わいは相性も良いはずだ。

チョコレートを散らして、しっかり焼き上げる。素朴で力強い「その日の焼きバナナブレッド」 の完成を目指す。試作を重ねて、もう一歩のところまできた。ゼリーが売れる店を見ながらの試作は、少々きついものです。

2016年7月24日日曜日

あなたのために いのちを支えるスープ

草津エイスクエアのカフェで出す新メニューに手作りのスープを出したいなと思って、アレヤコレヤと研究。辰巳芳子さんの本に感動した。

本は、随分前にテレビで紹介されたときに買ってちょっとだけ読んで本棚においていた。今回の機会で改めて読み直して、その内容に腰が抜けた。正座して読まなあかん本やん・・・・。
さらに、表紙の絵の説明
2000年6月、ベルリンバウハウス美術館でこの作品と共感を分かち合った喜びの日を私は忘れ得ない。作者はリートヴィヒ・ヒルシュフェルトマックという。
もう長いこと、料理は図式化できると考えていた。特にスープはすでにピッタリ図式化できていた。
色は食材、並列は技法。それらのおのずからなる融合の美は、味というものの行き着くところと結びついた。自分の頭の中にあることどもを色と形で提示されたことは、まったき理解者との巡り会い、手に手をとった喜びに等しかった。表紙の表現に、この絵を持ちいえたことは、望外の満足である。バウハウス美術館と作者のご遺族が快く作品使用許可を与えてくださり、感謝の他ない。
辰巳芳子著  「あなたのために」から



その日の食材と自分の感性の赴くままに、絵を書くようにお菓子を作りたいと思った。そしてパレットいう店名になった。伏線は、オープン準備をしているときに、たまたま機会があって故東山魁夷さんの「絵になる時」と、いう講演を聞く機会があった。心が動く時が絵になる時という話と記憶している。この時の感動した思いと、オープンでの店名を考える時、そして自分が絵が好きだったという様々が結びついたと思う。

辰巳さんの思いや考えで作られるスープの本なのだが、その中は哲学書だと思った。効率は経営には求められる。既製品でいいじゃないですかというスタッフの声も理解できる。本の中をそのまま再現するには力不足だ。

それでも、そこを目指して、ちょっとでも近づけたいと思う。100年素材の考え方からの食材選び、時間をかけた技法。心と体に良いものを出して行きたい。そのためには、作り手の心づくし、心を深く使って作ることが大切だということを辰巳さんは本の中に書いておられた。本当にいい本だ。感謝です。