私は、スタッフが抽選する結果を聞くことになるのですが、当選された方の中に「結婚式を挙げていない両親にケーキをプレゼントしたい」という涙が出そうなストーリーの応募がありました。通常ではマジパンの載ったケーキのご注文を伺うことはしていないので、普通に店にこられても、お断りすることになる。それが、今回こうした企画に応募いただくことで、その要望に答えることができた。それは、とても嬉しかったことです。作ったパテシェの節津さんも楽しんで作ったようです。
じゃ、普段も対応したらいいじゃないかというお叱りをいただくことになります。ごもっともな話ですが、受けられない理由は、二つ。一つは、そうした熟練した技術を要するケーキを作れる職人さんと作れない職人さんがいるということ。オーダーをいただいたときに、作れる職人さんがいれば良いが、いつでもというわけではない。つまり提供する側の技術レベルが、お客様の信頼に値しないという判断です。
もう一つは、着色料などの添加物を使わないと作れないものであるということです。マーガリンやケーキホイップを使わないなど、自分たちの材料選びの基準である「安全安心100年素材」の考えにあっていない商品の提供は、私たちの店で作らなくても良いのでは?という考えです。
今回の夢ケーキは、プレゼントということ、添加物を使うことを説明をした上での話です。普通やんといえば普通です。そして、普通は、人に言われることではなく、自分のために使う言葉だと思う。だから、こだわりというネガティブな言葉で言いたくない、自分たちにとっては普通に大切にしていることと言いたいのです。