良い素材に出会うと、シンプルにその味を中心にしたお菓子づくりを考える。素材を活かすと、いうことだが、お菓子づくりを複雑に考えると、こうしたブルーベリーのタルトは"普通"で、インスタ映えもしない。
先日知り合いの知り合いで、つまり全然知らない人から、綿菓子の専門店を開くからということで相談がきた。しきりにインスタ映えするものを作りたいとのこと、途中でこの人の思いについていけなくなった。興味を失ったというのが正直な所。
目の前の「おいしい」と、喜ぶ笑顔に出会えるのがお菓子づくりをやっていてとても嬉しいこと、ごちゃごちゃうんちく並べて褒めてもらわなくていい、言葉を超えて共感できる範囲でケーキ屋さんを続けていけたらいいなと思う。だから、インスタ映えしない地味な商品ばかりで、世の中の流れに乗っていなくてもいいと思っている。
自分勝手で傲慢なのかなと思うこともあるが、お菓子づくりそのものが傲慢な自己表現の要素を含んでいる。自分がおいしいと思うもの(食べたいもの)を作る。とてもシンプルな動機でお菓子を作っている。これも、角度を変えてみれば傲慢なのかと思う。思考を漂わせても、おいしいものは人を笑顔にする。このブルーベリーはおいしい。この事実は、なんら変わらないのです。