技能検定を受けるからと、スタッフが一生懸命バラの絞り練習をしていた。今は、こうした飾り絞りは実際の仕事に使うことはほとんどなくなりましたが、技能検定という国家試験には、ちゃんとあるのです。
スタッフが「花びらが口金に巻きつくんですよ・・・・・」という。「自分で口金は、調整するもんだよ」と、言うとびっくりしたような顔で「自分で調整するんですか?じゃ、この口金は、不良品ですね・・・」「・・・???」答えようのない反応だった。「そうじゃなくて、自分で使いやすい道具に変える工夫をするんだよ」「???」なんとも会話が成立しない。
結局、この口金の左右の何ミリかの誤差を「やすり」や「といし」を使って調整をすることになった。ほんの数分で調整は済むのだが「めっちゃ絞りやすいですね」と、喜ぶ顔は見れてよかった。
「ところで口金の調整をするっていう意味わかったのか?」
「はい、わかりました」
「・・・・」
なんだか、こちらが納得できない感じだ。本当に、あるかないかのちょっとに違和感を感じて、変えようと思う「気づき」、そして変えるためのアクション。そして、得られる使い心地。職人は技術の習得もだが、こうした知恵もその人の力量に含まれると思うのだ。
経験と知識によって技術習得が進み、そこにひらめきのような知恵が加わる。目に見えないが、全部がセットになっているんだがな・・・。改めて教え伝えることの難しさを感じますね。