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2023年9月16日土曜日

自然の恵みを引き出す知見を手に入れたい

表題は 日本経済新聞で紹介されていたサントリー白州蒸溜所の有田工場長の言葉です。「全体のバランスが整い、たたずまいの良いウィスキーを作ることを心がけたい」との言葉をイメージで解釈する。

バランスが良い、たたずまいの良い・・・滑らかな味わいとともに、香りが広がり、ゆっくりと沁み込むように味わいが消え、なお余韻に浸る。ゆったりと長い味わいと香りが心地よいウィスキー。そんなイメージがわいてきます。

目指す味わいのために、麦芽の自製化に取り組む。自製化によって独自の味わいを作っていく考えのようです。10年後20年後が見えているのかと思います。生産性や効率を求める時代の中で、未来のあるべき姿をいま語り、取り組んでいく会社は強いと思います。

これは、サントリーという大きな会社だからという話で受け止めるのではなく、私たちのような小さなケーキ屋でも見習うことだと思います。今すぐに到達できなくても、そこを目指す。自然の恵みを引き出す知見を手に入れ、自製化した材料を使って「パレットオリジナルの味わい」を作る。


滋賀県が開発した新品種イチゴ「みおしずく」のサンプルをいただいた。赤い色、繊維質の味わい、酸味がしっかりある好みのイチゴでした。シンプルにこれらの強味を引き出す滋賀のおもたせギフトが作れたらと思います。

生ケーキでは、毎年国産イチゴがおいしい1月~3月の期間限定販売している「たっぷりいちご」のみおしずくバージョンなどは、すぐにでも準備ができる。いつも使っている「さちのか」と、味わいが少し似ているが、強みである香りが長く残る仕上がりと想像しています。1月から入荷次第ですが、おいしい滋賀県産イチゴタルトを販売していきたいと思います。






2023年9月8日金曜日

自家焙煎のコーヒーを飲みながら

 自家焙煎したコーヒー豆で、豆を挽いて、コーヒーを淹れる。興味本位で買った自家焙煎機が、素人ながら、優れものだなって思う。何も考えなくても、おいしいコーヒーを味わえる事実にです。

コーヒー豆焙煎機MR-F60A・・・珈琲に対して、何の予備知識も持たないから、本を買い求めた。








筆者のプロフィールを見ていると、なんと滋賀県人だった。妙な親近感を感じながら、主催するサイト「百珈苑」をのぞいてみる。あかん、素人が立ち入るところではないと、直感した。おとなしく、自分のためのコーヒーを楽しもうと思った。

為末大さんの本「熟達論」を読んだ。その中に、「ZONEに入ると一瞬であっても主体なき世界を体験できる。すべてが関係しあっている世界から自由になるのは「自我」からの解放だ。」オリンピアの言葉を軽く受け流すと「没頭すると我を忘れる」と、いうことかと思います。

好きなことに浸り、我を忘れ、時間の経過からの解放される。おいしいコーヒーの味わいと香りには、そんな感覚があるのが不思議だ。それを論理的に学びたい気持ちもこの感じていることを誰かに説明しようという気もない。シンプルに浸りたい。ゆっくりと心に沁みてくるのを楽しみたいのです。コーヒー一杯を淹れるのに、1時間ほどかかるが「今の自分」には幸福な時間です。









2023年9月3日日曜日

静かなぜいたくの時代

日本経済新聞に「映え」の対局として位置付けされるシンプルで上質なファッション「クワイエット・ラグジュアリー」が、2023秋冬ファッションの主流をなす紹介記事がとてもインパクトがあった。目も心も疲れさすインフルエンサー情報への反発もあるのかと思う。とても新鮮な感覚でこの記事を読みました。そして、納得した。




トレンドを説明する言葉の中にあった「究極の普通」は、私自身のお菓子作りに求めるスタンス。ここをぶらさないように、お菓子を作ってきた。それが、「知る人ぞ知る」など目立たないけれど印象に残るお菓子作り。パレットの中では「心に残るお菓子作り」として創業時からスタッフに伝えているパレットのお菓子作りの魂のような思いです。

この考えの背景は、何かの文章で知った「出汁から味噌汁を作るのは全体の20%」から、美味しい味をわかる人ということでは無く、美味しい味を作る人の割合と理解した。つまり、手間をかけて美味しい味を作るこの人たちを想定した「美味しいお菓子」を作っていこうと考えたのです。これは、今もパレットのお菓子作りの中心にあります。

そのための材料選びとして、イタリアから始まったスローフードの考え方と重ねた「安全安心100年素材」を使っていくと決めています。これは、親、子、孫と三世代を超えて食べ続けられる食品ということで、100年前になかった材料は使わないという材料選びの線引きを自分たちのために、お客様のためにしています。だから、闇雲に添加物を使わないと線引きするのではなく、天然添加物「バニラ」は使う。130年ほど前に開発されたベーキングパウダーは、炭酸ガスとアンモニアガスで生地を膨らます添加物ですが、どちらも体に害がない。だから、使う。と言うようなゆるい基準です。バターの代用品として開発されたマーガリンは100年を過ぎても使うことはない。

話はそれますが、マーガリンとは全く違うコンセプトで開発された「植物油脂100%無添加バター」をこの間紹介されました。興味があるので、この食材で試作をしているのですが、100年素材の考え方の解釈に「但し・・・」をつけなくてはいけないなと思っているところです。いわゆる安全安心の拡大解釈です。

話を戻すと、ブランドロゴや驚きのコラボで価値を喧伝するのではなく、計算されたシルエット、高級素材、そして地味で繊細なカラーで囁くようにアピールするファッション。お菓子作りにもそのまま同じだなと納得したのです。「映え」など気にしないぞと、自分に言い聞かせるパティシェでした。





チョコレートは難しくない

「チョコレートは難しくない」というテーマのチョコレートの社内勉強会を開催しました。
講師が、難しい理論の話を優しくわかりやすく説明していただきました。また、電子レンジのテンパリングを実演していただき、明日からすぐに使えそうだなって思いました。


チョコレートの試食でも、濃いカカオの味わいの中にドライフルーツを感じた。滑らかさや香の立ち方など、クオリティーの高さが心地よかった。

パティシェさんによっては「俺は〇〇社のチョコレートしか使わない」と、いう方がいます。また「ベルギーチョコレートを使った本格的・・・」などのキャッチなども、同じですが、チョコレートときちんと向き合っていないと思う。産地や品種、焙煎の違いなど言い出せば、そんなカテゴリーの話ではないことは誰でもがわかる話だ。いわゆる思い込み、先入観、錯覚の話だ。流暢性の幻想と言われるものかと思う。

情報が多い中で、私たちパティシェが使う材料を決めるときに重要なのは、目指す味わいに対して、目の前の素材の良さを生かせるかどうか?良いとか悪いではない、目指す味にとって必要か?と、いうことです。その判断ができるかどうかが、その人の力量(認知領域の広さ)と考えます。

若いスタッフが「私、これ嫌いです」などと、好き嫌いを言うのを聞くと自分から認知領域に制限している。つまり自分で超えられない意識の壁を無意識に作っている。つまり、常に自分が作った錯覚の中で自分と戦っている。

こうした勉強会で、自分のつくった意識の壁や錯覚を突き抜けて、認知領域を広げるきっかけにして、自らの可能性を広げてほしいと願うのです。突き抜けるのはチョコレートに誠実に向き合うこと、そして、素直に美味しい!と、感じる五感の感性。さらに、こうした機会を得られたことを謙虚に感謝することです。誠実、素直、謙虚は、意識の壁を超えて、自分を成長させる切り口となります。