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2023年9月3日日曜日

静かなぜいたくの時代

日本経済新聞に「映え」の対局として位置付けされるシンプルで上質なファッション「クワイエット・ラグジュアリー」が、2023秋冬ファッションの主流をなす紹介記事がとてもインパクトがあった。目も心も疲れさすインフルエンサー情報への反発もあるのかと思う。とても新鮮な感覚でこの記事を読みました。そして、納得した。




トレンドを説明する言葉の中にあった「究極の普通」は、私自身のお菓子作りに求めるスタンス。ここをぶらさないように、お菓子を作ってきた。それが、「知る人ぞ知る」など目立たないけれど印象に残るお菓子作り。パレットの中では「心に残るお菓子作り」として創業時からスタッフに伝えているパレットのお菓子作りの魂のような思いです。

この考えの背景は、何かの文章で知った「出汁から味噌汁を作るのは全体の20%」から、美味しい味をわかる人ということでは無く、美味しい味を作る人の割合と理解した。つまり、手間をかけて美味しい味を作るこの人たちを想定した「美味しいお菓子」を作っていこうと考えたのです。これは、今もパレットのお菓子作りの中心にあります。

そのための材料選びとして、イタリアから始まったスローフードの考え方と重ねた「安全安心100年素材」を使っていくと決めています。これは、親、子、孫と三世代を超えて食べ続けられる食品ということで、100年前になかった材料は使わないという材料選びの線引きを自分たちのために、お客様のためにしています。だから、闇雲に添加物を使わないと線引きするのではなく、天然添加物「バニラ」は使う。130年ほど前に開発されたベーキングパウダーは、炭酸ガスとアンモニアガスで生地を膨らます添加物ですが、どちらも体に害がない。だから、使う。と言うようなゆるい基準です。バターの代用品として開発されたマーガリンは100年を過ぎても使うことはない。

話はそれますが、マーガリンとは全く違うコンセプトで開発された「植物油脂100%無添加バター」をこの間紹介されました。興味があるので、この食材で試作をしているのですが、100年素材の考え方の解釈に「但し・・・」をつけなくてはいけないなと思っているところです。いわゆる安全安心の拡大解釈です。

話を戻すと、ブランドロゴや驚きのコラボで価値を喧伝するのではなく、計算されたシルエット、高級素材、そして地味で繊細なカラーで囁くようにアピールするファッション。お菓子作りにもそのまま同じだなと納得したのです。「映え」など気にしないぞと、自分に言い聞かせるパティシェでした。





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